新頭町戯曲集

複数人の作家で作られる戯曲によるエセメタバース

劇作家Z氏とインタビュアー君による公開談義1

☆登場人物紹介
劇作家Z氏、自称天才劇作家
インタビュアー、囲碁が趣味


劇作家Z氏とインタビュアー君による公開談義1


Z氏
どうもコンニチワ、劇作家のZです。今日からここ、頭町大学の講師になりました。パンパカパーン。というわけで授業をやっていこうと思うのですが、特別ゲストを呼んでおります。どうぞ。パパーん。


インタビュアー
いやいや、おかしいでしょ、私はただのインタビュアーですよ、


Z氏
パパーん、


インタビュアー
パパーん、じゃなくて、


Z氏
いやはやインタビュアー君、どうもわざわざご足労ありがとう。


インタビュアー
いえいえ、本当は来たくなかったんですが、あまりにもZ氏が来てよ来てよと嘆願するので来ました。


Z氏
皆さんご存知ないと思いますがね、インタビュアー君はただのインタビュアーでして、パパーん、と紹介するまでもない、何の実績も持たないただただのインタビュアーです、


インタビュアー
その通りですがわざわざ言われるとイラッときますね。


Z氏
そして私も何の実績も持たない、ただただ、ただただの劇作家、Zです。なんで私が頭町大学の講師になれたのか全くわかりませんが、どうぞこれからよろしく。さて、この二人でこれから公開談義をやっていくわけなんですが、インタビュアー君、君なんか私に質問かなんかある?


インタビュアー
ありません。


Z氏
あれよ、ないわけないだろ、あってくれよ、君、インタビュアーだろ、プロ意識持てよ、


インタビュアー
急に来いって言われて、何やるかもわからないまま連れてかれて、ポカーンとしてるんですよ、公開談義なんて今初めて聞きましたよ、質問なんてあるわけないでしょう。


Z氏
それでもプロ意識持てよ、ご質問のある方、って言われたらさっと質問浮かばないとダメでしょう、プロとして、


インタビュアー
ある程度あなたが何か話してくれたら浮かぶかもしれませんが、今、範囲が広すぎてなんにも浮かびません。


Z氏
弱ったな、君の質問から何話すか考えていこうと思ったのに、


インタビュアー
あのねえ、Z氏、仮にもあなた、頭町大学の講師になったんでしょう、今初めて聞いたけど、だったら、自分で学生たちに何を教えたいとかあるでしょうに、そういうの、ちゃんと筋道立てて、筋道立てて、考えてこないとダメですよ、


Z氏
なるほど、学生たちに何を教えたいかって質問ね、


インタビュアー
いえ、これは質問ではありません、説教です。


Z氏
なるほど、公開説教というわけか、


インタビュアー
もう授業始まってるんでしょう、真面目にやってくださいよ。


Z氏
うーむ、そうだなあ、学生諸君、君は僕に何を求める。


一同、沈黙。


Z氏
何も返ってこないところを見ると、君たちマジでやる気ないな。


インタビュアー
あのねえ、Z氏、いきなりなんの実績も持たないただただただただの劇作家のおっさんが出てきて、なんか質問ある?とか何を求める?とか言われてもなんにも出てこないんですよ。出てくるとしても好きな食べ物はなんですか?とかぐらいですよ、


Z氏
なるほど、好きな食べものね、なんだろうな、


インタビュアー
好きな食べ物はどうでもいいんですよ、講義をね、始めてください、講義を、そしたらその講義の内容から聞きたいことが出てくるかもしれませんし、


Z氏
だけどインタビュアー君、僕は講義なんて一度もしたことないんだぜ、何を話せばいいのかわからないよ、困っちゃったよ僕ちゃん。


インタビュアー
あのうさあ、あんたさあ、まあいいや。あれじゃないですか、今自分が劇作をする上で気になってることだとか考えてることを話せばいいんじゃないでしょうか。


Z氏
うーむ、その手があったか、流石インタビュアー君、恩にきるよ。


インタビュアー
はいはい、もう講義始まっているんですから、見切り発車ではじめてくださいよ。


Z氏
そうだなあ、まず、頭町戯曲集をはじめてみて気づいたことを列挙してみるか。


インタビュアー
お、いいんじゃないですか、その前に学生さんたちに、頭町戯曲集について知らない人もいると思うので、頭町戯曲集についての説明をざっくりお願いします。


Z氏
そうだね、頭町戯曲集というのは、落語の頭山をもじっていて、頭山ってのは頭に桜の木が生えてきて、その桜の木の下で人々が花見をはじめるというなんとも変な話なんだけど、この戯曲集はそれを参考に頭に町ができてその中で人々が暮らしているというのがベースにあります。なんでこの戯曲集をはじめようかと思ったのかはですね、いろいろあるんだけど、戯曲を書く、登場人物のセリフを書くっていうのは劇作家の演技の要素がかなーり大きいと考えていて、自分の範囲内の演技と範囲外の演技ていうのかな、つまり自分ができない、やったことない演技の質に手を出してみたくなったわけ、演技の幅を広げるためと演技の質を深めるため、それによって自分にとって新しい言葉の獲得を、ってことなんだけれども、本編戯曲でいきなりそれをやってもいいんだけど、多分ね、自分の範囲外の演技ってのはいきなりじゃやっぱ難しくて、と、感じていて、あと、書けば書くほど、動けば動くほど、登場人物が動きはじめる、動きやすくなるのでは、って、気もしていて、頭町という町で暮らす人物たちの日常を気軽に適当にボンボン書いていこうと、それで登場人物の輪郭、言葉の演技の輪郭を捉えていこうと、そして、いつの日にか、そいつらが本編戯曲に満を持して登場して、暴れまくってくれたら楽しいし、ワクワクっすっぞって感じだし、最高じゃん、ね?


インタビュアー
ええ、まあ、なんか、いいですね、売れないアイドル応援してるみたいっすね、


Z氏
え、なにそれ、売れないアイドル?


インタビュアー
売れないアイドルがメジャーデビューして喜ぶ感覚じゃないんですか、その感覚、


Z氏
へえー、そっか、なるほどね、確かにね、頭町ってのが地下活動となり、いつの日かに日の当たる場所、本編戯曲にってことね、って自分で言うのもなんだけど僕の本編戯曲全く日が当たってる感じしないけどね、ってちょっと待った、話したいことからずれてる。


インタビュアー
あ、すみません、


Z氏
いや、いいんだいいんだ、実はこのずれるってのが今考えていることでもあるんだ、で、ちょっと頭町戯曲集について説明する前にこのずれるってことに関して話させてくれね、


インタビュアー
先に頭町戯曲集の説明した方が良いのでは、


Z氏
気持ちはわかる、気持ちわかるけど待って待って、今、僕はなんの話してたっけ?


インタビュアー
アイドルの話ですか?


Z氏
アイドルの話なんだけど、その前よ、アイドルの話になる前よ、


インタビュアー
頭町戯曲集で描かれた登場人物が本編戯曲にいざいざと登場したら最高じゃんって話ですね、


Z氏
そうなんです、最高なんです、最高なんですけどそんなこと本当にできるのかって話に持っていこうとしてたのよ、だけど君がアイドルみたいだなんて言うからスターシステムだとかオーディション番組だとかいろいろ考えちゃって、へえーと思っちゃったわけだ、思っちゃったし、その話について詳しく掘り下げていきたくなっちゃってるわけだ、


インタビュアー
すみません、


Z氏
謝らなくていいんだ、謝らなくてもいいんだむしろ感謝したいぐらいだよ、ありがとう、サンキュウ、サンキュウベリーマッチ、


インタビュアー
ユーアーウェルカム、ユーアーウェルカム、


Z氏
つまり話ってのは分岐していくんですよ、意味わかります?


インタビュアー
意味、ああ、ああー、あ、つまり、あれですか、つまり、Z氏は戯曲集の話をしたかったのにアイドルの話をしたくなってしまった。


Z氏
そうです。


インタビュアー
アイドルの話に行ったけど、戯曲集の話にも行きたかった、アイドルと戯曲集への分岐点というわけですか。


Z氏
ご名答、つまり話がここで分岐していて、戯曲にする場合に戯曲集の話になるかアイドルの話になるかで世界が分岐していくんですよ、戯曲集の話をしていた世界線もあれば、アイドルの話をしていた世界線もあるわけだ、この感覚、モノローグ戯曲を書いている時、僕は道を歩いている感覚になると感じていたのがこれで、つまり曲がり角を右に曲がるか左に曲がるか、曲がらずに真っ直ぐ行くか、モノローグで出てくる内容の中でフォーカスを当てたくなる物事ってのが複数出てくるわけだ、それのどこに焦点を当てていくのかって話で、幹から枝分かれしていって最終的にどの葉に行き着くかってのも似たイメージだけれど、道を歩くって感覚は前に話していた事柄にいつの間にか戻ってきてしまってる、以前歩いた道に戻ってきちゃってるなっていう感覚も含めてあるわけだ、そしてどこに行き着くのか、これがモノローグだけでなく、ダイアローグでも同じなんだと最近考えはじめていて、つまり、登場人物の動いた形跡が物語になっていくって考え方が健全なんではないか、と考えていたことからの流れなんだけど、物語っていうのは登場人物によって動かせられることと動かせられないことがあるわけですよ。例えば天気ってのは基本的に登場人物は動かすことができないわけよ、基本的にね、天気を操る超能力を持ってない限り、あと、登場人物の感情に呼応して雨降ったり、雷落ちたりとかあるけど、それも操ってるわけではないよね、そういうのって登場人物が選択できない事柄なわけですよ、そもそも戯曲のはじまりの状況ってのは登場人物には選べない、登場人物ははじめにどんな状況にいるのか、部屋でゴロゴロしているのか、会社で会議しているのか、地球滅亡を救うために宇宙船にいるのか、トイレにいるのか、登場人物には選べないわけです、当たり前のこと言ってるよ、知ってる知ってる、だけど僕にとっては結構新鮮な発見なんです。これって赤ちゃんとして生まれる時、どの家庭に生まれるのか選べない、どの親のもとに生まれるのか選べない、またはどんな顔で生まれてくるのか選べないのと同じように登場人物にとっては運命じみてるんですよ。その運命作ってるのが作家なんですよ、もっと丁寧に考えてあげないとかわいそうだよ、ってこともあるんだけど、ここで太田省吾のエッセイ集を最近久しぶりに読んでて、その中にそれに関する話があって、そこにつなげたいと思いつつも、いろいろ昔読んだ時の印象とかなり変わってきていて感動したっていう、太田省吾って言葉が出てきて今すこぶるガッツリ太田省吾の話をしたくなっていて、つまりここは僕にとっての分岐点なんだけど、太田省吾の話をガッツリしたい欲望が勝ってしまって、今までの話をほっぽらかしちゃうか、ぐっとこらえて今までの話のつながる部分だけ丁寧に取り出して話すか、どっちを選ぶかは登場人物の動きなんだよね、作家の選択ではないんだよ、劇作家Z氏という登場人物がここはやっぱりがっつり太田省吾はマズイよ収拾つかなくなるよ、あとで時間余ったら突っ込んどこくらいにして、今は重要なとこだけにしとこうしとこうってなって、今、重要なとこについて話していこうとしているわけだ。だけれど重要なこと重要なことってそんなにたいして重要な話でもないのに重要なことって言ってしまったが故にハードルあげちゃったなとか思ってしまって、ていうかただ単に面倒臭くなってきちゃって、もう、全く関係ない話いきなり始めたいとも思ってきちゃってて、でも特に話したいことがないけど、そろそろプロのインタビュアー君はなんかしら良い質問持ってきてくれるかな、と考えているのが今の劇作家Z氏で、というわけなんだけども、インタビュアー君、なんか質問でけた?


インタビュアー
え、いや、ていうか、その太田さんの重要な話、普通に聞きたいんですけど、


Z氏
いや、もういいよ、ハードル高くしちゃったし、


インタビュアー
いや、でもみんな聞きたいでしょうに、あと多分だけど作者も話したいでしょうに、


Z氏
そこなんですよね、つまり作者がやりたいことっての、もちろんこのテーマを伝えたいとかそういうんでなくて、書いてたらこっちの方へいきたいなあってのが出てくるんだけど、道を歩いていると急に曲がり角を曲がっちゃったりして、全くそっちの方へ向かわない道になってたりしてフラストレーションたまったりするわけよ、っていうかこれね、モノローグよりダイアローグってのはより複雑なのかもしれなくて、一人で喋っていると一人の分岐点で道を歩いていくわけなんだけれど、三人で歩いていくと三人分の分岐点が常に潜んでいるわけなのよね、一人で歩いていても曲がろうと思わない道を他の誰かが曲がったりするわけ、それを曲がった一人も自分だけで歩いているのではないので、他の誰かが急に曲がったりするの含めてどんどん知らない道を歩いていって、知らない風景になっちゃったりして、ええと、つまりね、なにを言いたいのかっていうと、登場人物一人一人の分岐点と作者の分岐点、作者の分岐点ってのは状況設定やいつ場面転換するか、雨降らせたり雪降らせたり宝くじ当たらせたり、登場人物が操れない出来事を起こすか起こさないかっていう分岐点で、それぞれの分岐点が掛け算されて無数の世界線が平行にできる可能性があって、普通作品を作る時はその中からの一つを選んでいった形跡ってことが物語になってくんだろうと思っているんだけど、頭町ではおそらくパラレルな世界観も作っていけると思っていて、これ、あれなんですよね、マルチバースって考え方、なんで知ったんだろう、昔からなぜかこの言葉だけ知っていて、つまりユニバース、ユニの反対、マルチな世界、藤子・F・不二雄の短編でそんな漫画あったんだけど、一人の人生には様々な人生が選択によって派生して起こっていて、なんかいろいろな立場、金持ちになってたり、乞食になってたり、様々な自分がある日、同窓会に集まるって話、で、戻る世界交換してみません?みたいな流れになるやつで、え、ごめん、君、藤子・F・不二雄って好き?


インタビュアー
好きですよ、


Z氏
あ、じゃあ、藤子・F・不二雄の話続けるけどいいかな?


インタビュアー
え、ちょっとちょっと太田省吾の話してくださいよ、


Z氏
そうだよね、で、多分だけど、頭町戯曲集をはじめてみて気づいたことをまだ全く話せていないし、


インタビュアー
順序立てて話していけばいいんじゃないですか?


Z氏
そうだね、うん、そうだなあ、君さあ、そだねー、ってあったじゃん、


インタビュアー
ありましたね、カーリング娘、


Z氏
そうそう、カーリングカーリング娘、カーリング娘っていい名前つけたよね、モーニング娘。とかかってるよね、


インタビュアー
え、ちょっとすみません、カーリング娘の話するんですか?


Z氏
するよ、


インタビュアー
カーリング娘の話は、今までしてきたどれかの話に繋がるんですか、


Z氏
うーん、おそらく繋がんない、


インタビュアー
太田省吾の話してくださいよ、


Z氏
いやね、君さあ、あのさあ、わかるんだけど、話には流れってのがあるでしょう、今もう太田省吾の流れじゃないんですよ、今もうカーリング娘の流れになっちゃったんだよ、何故だか、


インタビュアー
せめて藤子・F・不二雄の話してくださいよ、カーリング娘なんなんですか、どっからカーリング娘出てきたんですか?


Z氏
さっき僕が、そだねえ、て言った時だよ、さうだねえって言ってみたら、そういやそだねーって言ってる人達いたなあってなって、カーリング娘の話になったんでないの、


インタビュアー
ちょっと待ってくださいよ、そうだねえ、なんていつ何時でも会話してる限り出てくる言葉じゃないですか、それ言うたびカーリング娘思い出す可能性があるってわけですよね、


Z氏
そうなんだよ、言うたびかどうかわかんないけど、そだねー的な質感で言っちゃうたびにカーリング娘のこと思い出して、そういえばカーリング娘っていいネーミングセンスだよねって言っちゃいたくなる可能性を含んでるわけよ、流石に実際言っちゃうのは稀だけど、だから今すごい稀な事態が起こったんだけど、ね、これ、僕はダウンロードって言葉を聞くたびに仲間由紀恵withダウンローズってのがCMでいたよなあっていつも思い出すんだけど、


インタビュアー
うわあああ、懐かしいー、いたいた、仲間由紀恵withダウンローズ


Z氏
でしょ、いたよね、恋のダウンロード、君とーしようよー、ローマンティック、今始まるよー、


インタビュアー
うわあああ、懐かしいー、歌えるんですね、懐かしいー、


Z氏
これ、もう、あれですよね、今、受講してくれてる学生さんたちでわかる人っていないんじゃないかな、


インタビュアー
いやあ、さすがにいないでしょう、私たちが小学校中学校ぐらいじゃないですか、


Z氏
ちょっと、この中で仲間由紀恵withダウンローズ知ってるよーって方は、手、挙げてもらってよい?


無音。


Z氏
うーん、やっぱさすがにいないか、


インタビュアー
お、一人挙ってますよ、


Z氏
え、そこの君、知ってるの、


学生1
先生真面目に講義してくれませんか、仲間由紀恵withダウンローズとか本当にどうでもいいですし、カーリング娘も本当にどうでもいいです。


Z氏
すみません。


インタビュアー
うん、まあ、その通りだよね、


学生1
しかし、登場人物の動きによって物語が分岐していくというのはなるほどと思いました。思う反面、その分岐を登場人物に委ねていたらろくな物語にならないんでないかって感覚を今のカーリング娘からの仲間由紀恵withダウンローズの件りで思いました。つまり、そこはある程度作者が分岐点をガッツリ操作したほうがいいのではないかと思うのですが、どうでしょう、


Z氏
インタビュアー君、


インタビュアー
なんですか、


Z氏
君の仕事はあの学生さんに奪われたと言っても過言ではないだろう。


インタビュアー
なんですって、


Z氏
良い質問してくれましたよ、彼は、


インタビュアー
うん、確かに、良い質問ですね。


Z氏
それでは答えましょう、まず、ろくな物語にならないんじゃないかて話だけれどもね、それね、だからさ、人によるんですよ、人にもよるし、状況にもよるわけよ、つまり、今、今ね、頭町大学ってよくわからん大学でよくわからん公開談義をしているって状況ですね、その登場人物は私、Z氏と、インタビュアー君ってことになるわけだけれども、私、Z氏はこの講義に仕事として挑んでいないのが一番の問題というか、この講義に情熱みたいなものがないんですよ、ただ、喋りたいことを喋ってる、やってきたことを喋りたい、ただそれだけの時間と化していて、つまり、何だろうなあ、普通さ、ここで学生たちに何かを教えるってなると、さ、仕事じゃない、お金もらって、それで生きてって考えもあるかもしれないわけでしょ、でも頭町大学ってなんだよって話で、なんで俺が講師になってんだよって話で、つまりちゃんと講義しようって思ってる人だとしたらちゃんと講義するよ、でも僕はどっかで適当にやりたいと思っちゃってるから仲間由紀恵とかカーリング娘とか出てくるわけでしょ、逆に言うと適当なことを言える状況でないと仲間由紀恵カーリング娘もでてこないわけよ、で、基本的に劇の中で適当なことを言える状況ってのはないわけよ、つまり、アンティゴネーが罪人であるけれど兄弟を埋葬したいって時に仲間由紀恵withダウンローズとかカーリング娘は出てこないわけだ、


インタビュアー
それは、出てこないでしょう、


Z氏
うん、ごめん例えが悪かったね、アンティゴネーとか国も時代も違うし、よくわからん例え出しちゃったね、いや、でも言いたいことわかるでしょう、なんか作品をってなると仲間由紀恵withダウンローズは入ってこないし、入るわけないんだよ、意味わかんないし、ふざけてるとしか思えないわけよ、いや、でも人間もっと適当なことを言ってるぞっとも思うわけですよ、適当なことを言ってるし、それでコミュニケーションしてるし、それで空気を保ってるわけですよ、うーん、だからつまり、なんだろうね、そういう意味で、なんでしょうね、よくわかんないけど、どうですか?


学生1
いや、うん、そうですね、なるほど、ま、つまり、適当なことを言える状況ってのも作者の選択肢として作者の匙加減として、入れてったほうがってことなんでしょうか、


Z氏
いや、うん、適当なことを言える状況って言い方があれかもしれないけど、つまり、どんなに適当なことを言えない状況でも適当なことを言っちゃう可能性があるわけですよ、メチャクチャ喧嘩してる時に仲間由紀恵テレビに出てきて、なんかわからんけど、怒りを一旦腹の中におさめてダウンローズの話する可能性もあるわけですよ、その話した時の空気感でさらに怒りが増すかもしれないし、ちょっと和らぐかもしれないし、その時の登場人物の感覚に忠実になっていれば自ずとってことなのかもしれないし、よくわからんけど、ま、でも、作者の匙加減みたいなものがあることにはあると思います、そこらへんはこれからみんな一緒に、俺たちの旅路、みたいな感覚で、とか言っちゃったりして、探っていけたら、なんてそんなことを考えているのが今日この頃であります、うーん、どうでしょうか?


学生1
うーん、まあ、そうですね、とりあえず、はい、ありがとうございました。はい、


Z氏
いえいえ、こちらこそありがとうございました。うーん、ちょっと疲れたね、


インタビュアー
ちょっと休憩しましょうか、


Z氏
え、まだ時間あるの、


インタビュアー
そうですね、まだまだ時間ありますね、


Z氏
うーん、じゃあ、ちょっと休憩で、十分くらい、


休憩はじまる。


続く。