新頭町戯曲集

複数人の作家で作られる戯曲によるエセメタバース

頭町戯曲集について2 〜劇作家Z氏へのインタビュー〜

Z氏・・・自称天才劇作家
インタビューアー・・・囲碁が趣味


頭町戯曲集について 〜劇作家Z氏へのインタビュー〜


2幕


インタビューアー
はい、ええと、Z氏はバンホーテンのアイスココアが好きだということで、そちらの方をすすりながら、先ほどの話の続き、ええー、劇作家Z氏新プロジェクト、頭町戯曲集について、伺っていきたいと思います。Zさん、改めてよろしくお願いします。


Z氏
よろピク〜。


インタビューアー
ええー、先程は、大変失礼いたしました、改めてお詫びさせてください、申し訳ございませんでした。なんだか、大人気なかったと言いますか。聞かれたことに素直に答えたらいいのに渋ってしまいまして、本当に、ええー、申し訳ありませんでした。


Z氏
いいよいいよ、ダイジョウビダイジョウビ、過ぎ去ったことは気にしないで。こっちもごめんね。
お互い大人気なかったね、いや、本当そう思うよ。


インタビューアー
それでは、ですね、頭町戯曲集についての説明の続きを、聞かせていただければと思います。


Z氏
頭町戯曲集ねえ、実際どう思う?
なんか僕としてはやっぱ気になっちゃっているのが、どう思うよ、頭町戯曲集てタイトル名、ぶっちゃけ、ぶっちゃけ、どう思う?


インタビューアー
あのー、本当、タイトル名は、あのー、後から、もうさ、幾時間考えてもらっていいので、今は頭町戯曲集の説明をね、お願いします。


Z氏
いや、大事でしょ、タイトル名大事でしょ、キャッチーなの、キャッチーでビビッドにズバーンってくるのが必要でしょ、


インタビューアー
ええ、ええ、必要なんですけれども、Z氏、この時間は企画会議の時間ではないのですから。


Z氏
分かってるよ、俺だって大人さ。
酸いも甘いも経験してきた年頃の大人さ。
だけどさ、気になっちゃってるんだもん、
大丈夫かな大丈夫かなーって、このタイトルで大丈夫かな大丈夫かなー、怖いな怖いなーって、
ね、ちょっと紙とペンある?


インタビューアー
ありません、


Z氏
あるでしょ、紙とペンくらい、その大きなカバンに入ってるでしょ、ねえ、裏紙でもいいからさあ、ねえ。


インタビューアー
はいはい、えー、どうぞどうぞ、


Z氏
はい、どうもありがとう。


Z氏、紙に頭町戯曲集と書く。


Z氏
どうよ?


インタビューアー
はい。


Z氏
率直に、直感的にどう思う?


インタビューアー
そうですね、、漢字が多いですね。


Z氏
そ、れ、は、、、悪い意味?だよね?


インタビューアー
え、と、そうですね、どうでしょうか、率直に感じたことなので、どうでしょうか。


Z氏
でもだって、待って、岸田國士戯曲集も漢字だらけだし、森本薫戯曲集も漢字だらけだし、日本人の戯曲集は漢字だらけなのは当たり前じゃない?


インタビューアー
その当たり前を壊していくのが、現在を生きてる作家の務めなんじゃないですか?


Z氏
え、なに、じゃあ、なに、


Z氏、紙に、あたままち戯曲集、アタママチ戯曲集、と書く。


Z氏
違くない?


インタビューアー
違いますね、


Z氏
ひらがなはいかにもあたま悪そうだよね、


インタビューアー
カタカナは、名前みたいに見えますね。


Z氏
え、どういうこと?


インタビューアー
アタマが苗字でマチが名前で、アタマ、マチ、女性の名前みたいじゃありませんか。


Z氏
アタマって苗字なんかあるの?


インタビューアー
知らないですけど、俵万智みたいじゃないですか、タワラがあるんですからアタマもあってもおかしくないんじゃないですか?


Z氏
あー、なるほどね、
え、俺、アタママチじゃないよ。


インタビューアー
分かってますよ。


Z氏
改名しようかな、アタママチに、


インタビューアー
しなくていいですよ、漢字でいいですよ。
漢字でドバッと頭町戯曲集、いいじゃない、かっこいいじゃない、ふー。


Z氏
ごめん、そういうのやめてくれない?
ふー、とか、そういうの、本当にやめてくれない?


インタビューアー
すみません、調子乗りました。
では、決まりですね、あなたはアタママチではないし、ひらがなにしてあたま悪そうに見えたくもない。消去法として、決定です、こっちで決定、これがこのプロジェクトのタイトル、頭町戯曲集、なんです、それでその説明を、ええー、素振りみたいなことを書きたいってことでしたよね、その説明以外にももっとあるんでしょう?この頭町戯曲集について、説明したいことが。


Z氏
餅の論、


インタビューアー
それでは、よろしくお願いします。はい、どうぞ。


Z氏
ええと、先程の説明の続きを、させていただきたいと思います。
チュー。
えー、さっきですね、ええ、どこまで話したかな、チュー、
そうだね、劇作家にとっての素振りってのがあってもいいんじゃないかって話だすね。チュー。


インタビューアー
バンホーテン置いてもらっていいですか?


Z氏
え、なに?


インタビューアー
バンホーテン、一旦置いてもらっていいですか?


Z氏
なんで、


インタビューアー
チューチュー、ストローの音うるさいので、


Z氏
君ね、君がくれたんだよ、このバンホーテンのアイスココア、俺が持ってきたわけじゃないからね。


インタビューアー
分かってます、分かってますよ、分かってますけど、うるさいんですもの、チューチューチューチュー。


Z氏
え、君ね、君さ、俺あれじゃん、タバコ吸ってるわけではないよ、酒飲んでるわけでもないよ、コーヒー飲んでるのと同じよ、コーヒー飲みながら話したり打ち合わせたりするよね、それと同じだよ。


インタビューアー
あーーーーーーー、すみませんでした。どうぞ、チューチューチューチュー、お好きなだけ、お好きなだけチューチューチューチューしてください、しつくしてください。


Z氏
チュー。チュー。チュー。チューーーーーー。


インタビューアー
では、どうぞ、話の続き、お願いします。


Z氏
やっぱりタイトルの話なんだけれど、


インタビューアー
タイトルの話はもういい!
タイトルの話はもうおしまい!
おしまい!ですから!


Z氏
でも一個だけ、一個だけ言わせて、


インタビューアー
ダメ!ゼッタイダメ!


Z氏
ケチ。


インタビューアー
ケチで結構。


Z氏
こけこっこー。


インタビューアー
こけこっこーじゃねえよ!
はよ説明しろ!


Z氏
なんだその態度、ふざけるなよ。


インタビューアー
ふざけてんのはお前だろが!
手、でるぞ!


Z氏
え、手、出るの?


インタビューアー
手、出ますよ。


Z氏
やめて。


インタビューアー
ちゃんと頭町戯曲集について説明していただければ、出ませんから。


Z氏
悪かった。本当にごめんね。
なんか俺、やっぱり不安なんだよね、タイトルが。
でも違うよね、タイトルは今、考えることじゃないものね。
ごめんよ、ちゃんと説明する。


インタビューアー
分かってくれましたか。


Z氏
やー、そろそろ説明しないと、俺、ケツの時間、きちゃうから。


インタビューアー
あ、ケツの時間、あるんですね。


Z氏
そうそう、ちょっと今日さ、ま、いいや、この話は。
サクサクと説明するね、サクサクと説明すると簡単な話で、
つまり劇作家にとっての素振りとかリフティングが大事だとかは思っているんだけど、
僕はそういう努力を毎日できないわけ、ここまで、さっき話したよね、
そこで、さっき僕は人生の辛い部分に少し感情かき乱されてしまったんだけど、
つまりモチベーションの話じゃない、やっぱり、ある程度見てもらって、あーだこーだ言われたらモチベーションにつながるわけじゃない。続けようって思えるわけよね。
素振りだとか人が見てないところでの影の努力みたいなの、そういうのができるの本当にすごいと思うんだけど、いや、そりゃ頑張ってやろうとは思ってるんだけど、あ、そっかむしろあれかもね、バッティング練習みたいな、なんか球団のキャンプの練習とかをファンが見に来るじゃない、そんなイメージの方が近いかもしれない。
試合じゃないんだけど、見てて楽しいぐらいの練習っていうか。そういうような戯曲を、まー気が向いたら、可能であれば二週間に一度ぐらいのペースで発表していきたいですね。


インタビューアー
なるほど、そのバッティング練習のような、本試合とは別の戯曲集を作るっていうのが今回の目的といったわけでしょうか?


Z氏
目的というのはちょっと違いますね。
どっちかというと結果です。


インタビューアー
ああ、そうでした、別役実さんのづくし系のエッセイが結果的にできたということを参考にしてるって言ってましたね。


Z氏
そうです。
別役さんのづくし系の話はバッティング練習というより、アップというか、試合に挑む状態作り、助走て意味合いが、コント教室読む限りでは強い気がします。実際はバッティング練習みたいな感覚もあったかもしれないし、その本読んだの、大分前なんでもしかしたら全然違うこと書いてるかもだけど。
ま、僕の場合の目的としては、試合状態に挑むって面ももちろんあるんですが、自分の演技の質の範囲の拡張と濃度を濃くするのが目的となりますかね。
その結果が戯曲集となっていくわけです。
そこで具体的に何をするのかって話になっていくのだけれど。
ごめん、ちょっといいかな?


インタビューアー
はい、なんでしょう?


Z氏
野球町戯曲集ってのはどうかな?


インタビューアー
頭町戯曲集の方が良いです。


Z氏
そうか、じゃ、ま続けよう。


インタビューアー
あ、ちょっと待ってください。


Z氏
なんだい。


インタビューアー
すみません、話の腰を折ってしまって申し訳ないのですが、Z氏がどういう劇作家なのか、どういう戯曲を書くのかを知らない人もいると思うのです。
演技の質や幅だとかの言葉が今出ましたが、Z氏のこれまでの戯曲作りにおいてどういったことをしてきたのか、ざっくりでいいのでお聞かせくださいますでしょうか。


Z氏
君ー、


インタビューアー
あ、だめですか?


Z氏
ファインプレーだよ、君、ナイスプレーだよね。
いや、その通りだよね、僕が今までしてきたことを知らないとあれだな、あれだよね。


インタビューアー
そうですね、あれですね。


Z氏
そうだそうだ、本当にそうだ。
まず一番最初に伝えておくべきことはだな、僕は書くことと演技することを同じものだと考えている劇作家だということですね。
劇作家は登場人物が喋る言葉を書くでしょう。
喋らない戯曲てのもあるけど、登場人物の行為を書くでしょう。
劇作家が文字にするまで、頭に浮かぶまで存在しなかった彼ら登場人物は何故喋るか、どうして行動をするかって話なんですけどね。
よく登場人物が勝手に喋り始めるんだ、勝手に動き始めるんだーって類の話を作家がしているのを聞いたことありませんか?
あれは勝手に登場人物が喋っているというより、自然と作家が登場人物を演技しているから勝手に喋り始めるのではないかとある日思ったのね。
そう考えたら世の中全て演技で構成されているようにも思えてきたわけで、小説もさ、鉤括弧でくくられている会話部分だけでなく地の文も作家の演技なんじゃないか、って。
桜の木が並んでいた、て書く人もいれば、桜の木が並んでいる、て書く人もいるし、桜の木は並んでいました、て書くかもしれないし、桜の木が連なっていたって書く人もいるし、演技だよね、こういう風な地の文にしようって演技のもと書かれているよね、って考えることできるよね、で、その演技によって、同じ内容を書いていたとしても書く人によってがっつりであったり些細であったり差異が生まれていて、えーと、なんだ、
ま、小説の話はここら辺でしまっといて、
戯曲の話ね、劇作家の演技によって登場人物が喋り始めるのではないかと考えた時、演技の質を変えれば出てくる言葉も変わるということに気付いたわけです。
演技って言ってもいろんな演技がありますね、四季のミュージカルみたいな演技や、能や歌舞伎なんかも演技だし、テレビドラマで見られるような演技から、バリバリの新劇みたいな演技だとか、ナチュラルに、現実のように自然な演技などなど、これは大雑把な演技の違いですが、演技の質ってのはもっともっと細かく分かれている。もっと言えば人それぞれの演技感でもうそれぞれの持ってる質は違うのだし、さっき話した小説の地の文も演技だし、街にあふれるポスターのキャッチコピーも演技だし、言葉がない身体表現やダンスなんかからも演技の感覚があるし、そういったありとあらゆる演技で挑むことによって、いろんな質の言葉が生まれるわけです。
今や、私は生まれるわけです、なんて言葉を使ってますが、これも演技です。
あ、ちょっとなんかあれかな、なんか、ですます調にしとくか、なんか丁寧に言っとくかて意識が、いや、意識的にというか無意識的に生まれているわけですね。
ここでさっき話した演技の質の範囲の拡張と濃度を濃くするて話につながるわけですけど、自分ができる演技ってのは、限界というか、うーん、こうか、無意識に出てくる演技には限界があると言った方がいいというか、
いや、限界て言葉は違うな、
質て考えるならば限界なんてないんだけど、種類て考えるならば限られてくるというか、
僕は登場人物が喋り続ける事態に気付いた時ですね、無意識に出てくる言葉に身を任せて書いてみたりしたんですが、面白いっちゃ面白いんですが、あれなんですね、結局は自分からの質からはみ出ない感覚があって。それもそれで面白いんですけどね、うん、なんかはみ出ない感じがあって、
演技を変えるって結構意識的に変えなければいけませんよね、そう、ここです、あーなるほど、演技は意識的に変えるんだけど、言葉は無意識的に反応してる、これが、今現段階で考えている理想というか、そう、意識的に変えなきゃいけないんですよね、そうそう、で、意識的に変えるには、演技をインプットというか、自分の身体に落とさないといけないわけよね、
いや、だからさ、書くことと実際に演じることは僕の中で影響を与え合っているわけ、
実際の演技で得た発見やら他の人の演技を見ていて得た感覚やらが、戯曲上での演技に繋がるし、戯曲上での演技が、実際の演技で新たな感覚をもたらすかもしれない。
こう、矢印がさ、互いに向いているんだよね、役者と劇作家は。
ここです、ああ、なんかどんどん話しちゃうけど、物語ってのがあるよね、ストーリー、流れ、これさ、これを重視するかどうかってのが、最近考えていることで、あのう、さ、物語自体の面白さってのはもちろんあって、物語を頑張って考えていたんだけど、いい物語をー、てさ、良い構成をさー、て頑張ってたんだけど、最近は考えないようになりましたのです。
劇作家によって違うんだと思うんだけど、僕は圧倒的に物語を考えるのが苦手な劇作家らしいですね。
あのー、古畑任三郎のさ、松嶋菜々子の回があるんだけど、知ってる?


インタビューアー
知らないです。


Z氏
なんか松嶋菜々子は双子で、二人で一人の脚本家をしている話なんだけど、姉の方は家に引きこもっていてずっと書いてるんだけど、妹の方は社交性があって、マネージメントやらなにやらしているみたいな。で、妹の方が、あれ、妹の方じゃないか、姉の方か、あれ、どっちだろ、どっちでもいいんだけど、部屋でずっと書いてる方が、もう一人の社交性ある方を殺して、社交性ある方を部屋で殺して、あたかも自分が自殺したと見せかけて、社交性のある妹を演じて生きていこうとする話なんだけど、最後の方で古畑任三郎にダンス誘われて、部屋にこもってた方だから踊れなくてばれちゃうみたいな、いや、そんなストーリーはどうでもいいんだけど、ね、
松嶋菜々子が言うには、引きこもって書いてる方は言葉を書くのが得意で、社交性のある方は物語を考えるのが得意で、2人で1人の脚本家として成り立っていると言うわけです。
う、、ごめん、
この話、どうでも良かったかも、ただただ古畑任三郎の話したかっただけなのかもしれない。
物語自体の面白さがあるのは重々承知の助の上で言うのだけど、登場人物が物語を動かす、あるいは作っていくのが今の僕の理想というところですかね。
物語ありき、というか、最初に全部構成された中に登場人物を入れちゃうと、どっかでどっちかが折れなければいけない時が出てくる。
登場人物が勝手に行動すると物語的には困りますし、物語的にそういう流れだってなると登場人物は勝手に行動しなくなるし、もちろん登場人物が勝手に動くのが良いことなのかって見方もありますけど、今の僕としましては、勝手に動けば動くほど面白いですね、予想もしないセリフが出てくるのは大抵そういう時ですから。
うーん、でもそういう書き方もあるんだろうとは思うんですけどね、物語を完全に構成しちゃって、その中で生き生きと登場人物を動かすみたいな、いや、あるいは、あれかな、一応全体の流れは考えつつ、その都度フレキシブルに変えていくみたいな感じなのかな、
ま、とにかく、私としましては、最初に物語を決めきらずに登場人物が物語を動かす、動かすというより、登場人物が動いた形跡が結果的に物語になってるて感覚が一番向いている気がしているわけです。何故ならば物語を作るのが苦手だから。
そもそも物語の流れを抜きにして言葉自体の面白さで見せることも可能ではあると思っていて、ここから夏目漱石の話を実はしていきたいのだけども、
あーーーーー、長くなってきたね、今何時?


インタビューアー
今は7時です。


Z氏
7時!?
ダメだ、ケツカッチンだケツカッチンだ、ここら辺で、


インタビューアー
ええー、今終わりですか、プロジェクト内容話せてませんよ、


Z氏
え、そうか、まあ、じゃあいいや、また今度、また今度電話会談しよう。


インタビューアー
電話会談?


Z氏
いや、だってコロナの影響もあるし、


インタビューアー
ズームとかの方がいいんじゃ。


Z氏
いいよいいよそれで、じゃ、また、


インタビューアー
え、予定ってなんですか?


Z氏
君には関係ないじゃない、プライベートなことなのであるから。


インタビューアー
マジスカ、こんな宙ぶらりんなところでインタビュー終わるんすか、


Z氏
だって時間ないんだもん、早く帰んなきゃー、間に合わないよ。


インタビューアー
だから何に?
それだけ答えてくださいよ、こんな宙ぶらりんなとこで終わらされちゃ納得いきませんから。
しかも時間の大半、あんたが失踪してて追いかけるのに費やしてるんですから、
あとタイトルがあーだこーだとかさあ、ね、予定ってなんですか?


Z氏
・・・金曜ロードショー


インタビューアー
金曜ロードショー


Z氏
千と千尋の、


インタビューアー
続けましょう、


Z氏
なんでだよ、


インタビューアー
DVDで見れます。


Z氏
ちげーんだよ、ふざけんなよ、DVDじゃダメなんだよ、リアルタイムじゃなきゃダメなんだよ!


インタビューアー
また、いつかやるでしょう。


Z氏
いつかっていつだよ!
曖昧なこと言いやがって、
昔からそうだよ、いつかとか言う奴信用なんねえよ!
金曜ロードショー千と千尋見る、これ以上ない幸せがありますかってんだ、
いいかい、金曜ロードショーってのはテレビだぜ、映画館じゃないんだぜ、計画してんの、俺、今日の金夜をいかに楽しく過ごすか、千と千尋見ながらピザ食べたいの、コーラも飲みたいね、それでツイッターチラ見しながら、リアルタイムでみんなで千と千尋見てる感覚に酔いしれたいの、ね、最高でしょ!俺この計画今日の朝に思いついたんだけど、あ、今日そういえばインタビューの日だったーってなったけど、まあ、インタビューなんて何時間もかからんだろって思ってたらこれだよ、ああああ、なんでだよ、俺はただただ単純に千と千尋楽しみたいだけだっつうのに、なんだよ、そんな目で見んなよ!


Z氏、勢い余って机を叩くか、蹴るか、当たっちゃうかする。
すると、机の上に置いてあったバンホーテンの紙パックのアイスココアが地面に落ちる。


Z氏
あっ、


インタビューアー
あっ、


Z氏
あっ、やばい、あっ、


インタビューアー
あ、シミになっちゃう、


Z氏
あ、ちょっと、あ、ごめん、


インタビューアー
ちょっと、あ、拭くもの、拭くものありませんか、シミになっちゃう、


Z氏
あ、えっと、ごめん、ないな、


インタビューアー
ティッシュとかタオルとかありませんか、


Z氏
あ、どっかないかな。


インタビューアー
あ、トイレットペーパー、


Z氏
あっ、トイレットペーパー、とってくる、トイレ、いってくる。


Z氏、トイレに、


インタビュー
あ、


インタビューアー、頭町戯曲集と書かれた紙を床にこぼれたアイスココアの上に浸す。



幕。