新頭町戯曲集

複数人の作家で作られる戯曲によるエセメタバース

劇作家Z氏の制作発表会見〜新頭町戯曲集について〜

 
インタビュアー
ええー、みなさま、本日はお足元の悪い暴風雨の中、ご足労いただきありがとうございます。本日は、我らが頭町戯曲集の創始者、ガッド、創造主、エキサイティングプログラムコーディネーターである劇作家Z氏が、みなさまに重大な発表があるとのことで、この制作発表会見を開かさせていただきました。どうぞどうぞよろしくお願いいたします。それでは、早速ですが、Z氏に登場いただきましょう、軽やかな拍手でお迎えください。
 
  ぱち、ぱち、ぱち、ぱち、
 
 
Z氏
なんなのなんなの、全然人来てないじゃん、
 
インタビュアー
まあまあ、
 
Z氏
しかも来てるやつ、なんなの、見たことあるやつじゃん、宝田明じゃん、
 
先生の発表が楽しみできちゃいました。
 
Z氏
なんだよなんだよ、いつもやってる頭町大学の講義と変わらないじゃん。
 
  パシャー、パシャー、
 
Z氏
眩し、
 
インタビュアー
カメラマンを雇いました、制作発表会見っぽく、
 
  パシャー、パシャー、
 
Z氏
眩しい眩しい、やめて、目つぶれる。
 
インタビュアー
フラッシュ十倍で頼んでおります、制作発表会見っぽく、
 
Z氏
何そのオプション、あと、カメラデカくね、
 
  パシャー、パシャー、
 
Z氏
音うるさい!
 
インタビュアー
全然人気ないんですね、Z氏、
 
Z氏
え、なんでなんで、新頭町戯曲集の制作発表会見だよ、みんな気になるでしょ、
 
インタビュアー
いや、気になる気にならないっていうか、そもそも頭町戯曲集の存在を誰も知らないのではと思いますよ、
 
Z氏
バカな!
 
インタビュアー
ありし日の三四郎小宮のリアクションやめてください、
 
Z氏
バカな!
 
  パシャー、パシャー、
 
Z氏
やめろよ、三四郎小宮の漫才中のリアクション写真撮るのやめろよ。
 
インタビュアー
本題入ってくださいよ。
 
Z氏
本題に、入りまーす。
 
インタビュアー
お、今日はやけにすんなりですね。
 
Z氏
会見だから、何故なら会見だから、気合入ってるから、一世一代の発表だから、
 
インタビュアー
もうタイトルで何をするか大体想定つきますけどね、
 
Z氏
ええー、諸君、諸君て言っても宝田明くんしかいないけど、諸君、私たちはこれまで、頭町戯曲集という戯曲集をここ、はてなブログに立ち上げ、架空の町、頭町に生活する人々を戯曲にしていくというコンセプトで活動してきました。戯曲の内容自体はあまり作り込みすぎず、一筆書きのように書けるもの、劇作家の素振り感覚、登場人物の蓄積、アイデア集のようなニュアンスの中で、上演を前提としないがゆえになんでも書けるという自由な空間設定でもって、この頭町戯曲集は続いてきました。
 
インタビュアー
最初は二週間に一回あげるって言ってたのに、途中から二週間どころか半年くらい上げてないですよね、
 
Z氏
うるさいんだよ、色々あるんだよ、学校入っちゃったんだよ!いや、待って、違うんだよ、書こうと思ったら書けるんだよ、だけど、なんなんだもん、明日やろーって思ったら、なんか忘れちゃうことが多くて、
 
カメラマン
明日やろうはバカヤローだ!
 
Z氏
びっくしりしたあ!お前も喋んのかよ!カメラだけ撮ってろよ、
 
  パシャー、パシャー、パシャー、パシャー、
 
Z氏
眩しい、眩しい、音うるさ、スピーカーに繋がってない?そのカメラの音、
 
インタビュアー
で、ですよ、今日はその頭町戯曲集が進化して新頭町戯曲集になるってことですよね、
 
Z氏
です!つまりー、ですね、今まで、僕一人でやってきた頭町戯曲集を共同で、何人かで稼働しようってのが今回のプロジェクト、新頭町戯曲集になります。僕がリーダーしているカハタレの人たちを中心に、他にも何人かお誘いしたり、やりたいって人いたら参加してもらって、複数人でこの町を形作っていくというのが本事業の大目玉っちゅーことですね、だっちゅーの。
 
インタビュアー
なんかすごいことになってきましたね、
 
Z氏
え、だっちゅーの無視された。
 
インタビュアー
うん、で、それから、
 
Z氏
ええーと、ですね、つまり、誰がいつ、何を書いてもいい戯曲集、素振り感覚、アイデア集、登場人物の蓄積などこれまでやってきた頭町戯曲集の感覚は継続して、戯曲ってスタイルであればほぼ何をしてもいい、エッセイっぽくしてもいいですし、今僕が喋っているようなインタビュアーくんとのやり取り書いてもいいし、講義してもいいし、批評書いてもいいし、歌歌ってもいいし、料理教室開いてもらってもいい、なんだろう、なになにシリーズみたいなコンテンツ化して行ってもいいし、全然単発で書きたい物語書いてもいいし、バラエティ豊かにね、なんでもやってもいい、超アナログなメタバース空間を戯曲で立ち上げようというのがこの新頭町戯曲集のコンセプトになります。だから、カラオケ、とか、学校とかコンビニとかファミレスとか、この町の空間をもとに書いてもいいし、私はこの人物を掘り下げたいって感覚で登場人物を中心に書いて行ってもいいかなと。もしくは、戯曲形態の模索、実験的な戯曲の発表場として変なこと書いてもいいですし、この新頭町戯曲集で描かれた中から、カハタレの次の公演に繋がる要素が出てきたら最高だなって気がしています。
 
インタビュアー
なるほど、場所、人物、町、コンテンツ、いろんな観点から考えられるってのはとっかかりが色々あって面白そうですね、あと、批評やエッセイを劇作でやる、うーんどうなるのか想像つきませんが、戯曲にしがみついてる泥臭さがあっていいですね、
 
Z氏
うーん、つまりあれじゃん、こういう制作発表の場も戯曲になってくわけじゃん、なんか昔の人っていうか、小説家とか、一応戯曲とかもチャレンジしてるんだよね、面白いから面白くないかは別として、うん、そうね、なんかこの形態でできることってもっといっぱいあるんじゃないかって思ってて、つまり行為の記録だけでできてる文芸ですよ、肉声になるかもしれない言葉だけでできてる文芸ですよ、もっと演劇以外の人にも楽しんでもらっていいんじゃないかと思うんだけど、どうしても戯曲って上演ありきなものとして捉えられてしまうので、間口をね、ボンボン押し広げていこうとね、だから、戯曲書いたことない人もぜひ参加してもらえたら嬉しいですね、そしてもちろん戯曲書いてきたいって人にとってはなんだろう、誰かに読まれる機会、少なくともカハタレの人たちは読むので、あー、つまりこうだ、戯曲って本当面倒な媒体で、上演がないと書けないんですよ、いや、書けるんだけど書かない、書ききれない、一部のすごい人は上演がなくても書き切るんですけど、つまり何か発表の場がないと書けない、だけどやっぱ書けば書くほど、会話の感覚なり、リアリティの線引きなり、自分の尺度がわかっていくものなので、気軽に発表できる場としての戯曲集、素振り感覚の戯曲集、ついでに町づくりっていう、ま、そういうのを目指していますね、
 
質問いいでごわすか?
 
Z氏
はい、宝田明くん、君、ごわす口調だったっけ?
 
先程、登場人物の蓄積も継続して行なっていくと言ってましたが、登場人物を繰り返し登場させる、つまり手塚治虫スターシステム的なものや、ロシア演劇のストックキャラクターって俳優の起用方法など、若干意味合いは異なるんですが、これまでの頭町戯曲集は登場人物の贅肉作り的な要素が強かったように思います。しかし、それ、共同でやるってのは、同じ人物を違う作家が書くってことになるってことでしょうか?
 
Z氏
さすが宝田明くん、頭町大学の最優秀生徒なだけあるね、いや、このインタビュアーくんほんと、見習ってほしい、君がインタビュアーになって欲しい。
 
インタビュアー
うるさいんですよ、そろそろ僕にも名前をつけてくださいよ、
 
Z氏
大丈夫大丈夫、インタビュアーくんもいいとこあるよ、アイス差し入れしてくれたり、
 
インタビュアー
そんなどうでもいいこと褒めないで、っていうか僕、戯曲に書かれないところでアイス差し入れしたりしてたんだ!
 
Z氏
話戻しまーす、結論から言うと、同じ人物を違う作家が書くってことをどんどんやっていけたら楽しいと思ってます、登場人物をゲームキャラクターのように、マリオカートクッパ選ぶとかそう言う感覚で、今日はこの人物を掘り下げてみるか、とか、この人物のモーニングルーティン書いてみるかとか、この人物とこの人物を掛け合わせてみたらどうなるんだろうって、そう言う発想で共有されている人物たちの贅肉を増やしていきたいですね、
 
そこででごわすよ、気になるには、別の作家が書いたら、その登場人物は別の人物になるんでないかってことなんです、名前は同じでも、作家の文体や作風が変わるとその登場人物をその登場人物として繋ぎ止める要素が、そうですね、例えば、サザエさんとかちびまる子ちゃんとか複数の作家がいるけどちゃんとマルちゃんはマルちゃんじゃないですか、あれって多くは絵、アニメって要素、声、同じ声優、どうせわたしゃなになにだから、って口癖だとか、作家が変わってもその人物がその人物を保てる複数の要素がある気がしていて、だけど、戯曲って文字だけでごわすよ、そして今の私のごわす口調のように特徴的な語尾を意識して書いてみると、面白いっちゃ面白いかもですが、途端にある種のリアリティがなくなってしまうように感じるでごわす、アニメキャラなら成立するかもだけど、そういう世界ばかり書きたいわけではないでごわすよね、だからそろそろ私のこのごわす口調もそろそろやめて欲しいんでごわすが、
 
Z氏
宝田明くん、まず感謝を述べよう。君がこの発表会見の場にいてくれたこと、非常に助っているでますでごわすと。うーん。そこなんですよね、つまりこれは結構永遠の課題かもですね、文体が自立する共同劇作ができないのはここに起因します。だけど、まあ最初の方は実験段階としてやってみていいんじゃないかと思ってる。いや、意外に気にならなかったりするかもしれませんし、そう、ここ難しいけど、人間って多面的じゃん、ある日は親切さにあふれてあばあちゃんの荷物持ってあげるけど、次の日にはペットボトルを缶のみのゴミ箱に入れちゃったりするとかそういう部分含めて、登場人物の一貫性をそこまで厳しく取り仕切ろうとは思ってないです。作風が変わればその中の人物も別人に見えるかもだけど、喋り方の癖とか、思考の癖とか、何に興味持ちがちだとか、やってしまうことだとか、少なくともその人物に関する戯曲はインプットして、登場させるみたいなことはしたほうがいいかなと思ってます。あー、でもあれだなあ、最近天野天街の演劇「田園に死す」観て、ガラッとこれまでの思考が覆る感覚もありまして。あー、どうしよう、脇道それるかもだけどま、いいか、いや、つまりあれじゃない、登場人物の演技で戯曲はできていくって思ってたんだけど、違うかもなって、
 
インタビュアー
ええええええーーー、違うんですか!!
 
Z氏
え、違わないんだけど、全然違わないんだけど、待って待って、つまりね、そうじゃない方法もあるんだなって、それだけじゃないんだねって、
 
インタビュアー
うん、まあそりゃそうでしょう、
 
Z氏
あ、そりゃあそうなんだ、あ、まあつまりね、天野天街面白かったのは音なのよ、音の連鎖でセリフできてるのよ、
 
インタビュアー
ああー、
 
Z氏
これって登場人物主体じゃなくて、劇の世界観主体のセリフなんだなって思ったのよ、語尾と語頭が連なって、出来上がってく、いや、待って、セリフ→劇空間、劇空間→セリフ、どっちが先かわからないけど、少なくとも「田園に死す」では一番最初のシーンで、時計壊れてますか?壊れてますね。っていうこれだけのやり取りを執拗に繰り返すことで出来上がった劇空間があって、もちろん音響映像照明含めて、セリフが連鎖してく、そのセリフの連鎖がさらに劇空間を深めていく、相互矢印なものを感じたんだよね、つまり登場人物のセリフだけじゃないよね、劇空間さえつくりあげれば自然とセリフが連なっていくっていうものもあるよねって、これまで考えてきたこととはちょっと違うかもしれない、いや、違わないか、主体がどっちかなだけの気もするんだけど、そんな要素もある気がしていて、ま、そういうふうなものもね、試せたら面白いよね、きっと、
 
  パシャー、パシャー、パシャー。
 
Z氏
なんでだよ、なんでこのタイミングで写真撮るんだよ、空気読めよ、ええー、あと、なんかあります?
 
インタビュアー
そうですね、今までの頭町戯曲集も一応、この人物は歌歌う劇みたいなコンテンツ化してるものもありましたけど、新頭町戯曲集はそういうもの増やしたいのかなって印象受けたのですが、
 
Z氏
なんかね、批評とかね、そのう、批評とかね、なんだろう、批評じゃなくてもいいんだけどレビューとかね。いや、この劇観た喋りたい、とか、この映画観た、このYouTube観た喋りたいみたいなのができる場であってもいいかなと思うんだよね、だから、今喋ってる僕って、現実の僕とは全然違うんだけど、重なる自分の要素もある、いわばアバターじゃん。だからみんなアバター的登場人物を作って喋るみたいな雑な構造の戯曲ができても面白いかなと、劇作家Zの他に、科学者Yとか、傍観者Sとか、なんか面白そうじゃん、目指せエセメタバースですよ。うーん。あと絶対もっと喋ってくべきこといっぱいあると思うんだけどなんだろうな、あ、で、これ、ブログなので、コメント欄あるので、戯曲についてのフィードバックっていうか感想でいいけど送れるシステムを作っとく、いや、これ一番重要で、やっぱ何も返答こないのが一番持続できないんだなと思って、相互にモチベーション高めるシステムを形成していけたらと思ってます、あとそうだ、ここに出てくる中から来年の短編演劇公演の演目を形成できたらいいなあという目論見もありますね、あとなんかあるかな、駆け足で終わらせようとしてるけど、絶対言いたりてないことあると思うんだけど、ま、いいや、
 
インタビュアー
あれ、これそろそろ終わる感じですか?
 
Z氏
すみませんちょっと東洋医学の勉強しないといけないんで、そろそろ終わりまーす、ああーっと、なんでなんで、興味ある劇作家の方、もしくは戯曲書いてみたいって方、全然演劇やったことないけど戯曲書いてみようかなって方、匿名でもペンネームでもいいですし、なんでもいいので、興味ある方はいつでも連絡ください、kahatarekahatare@gmail.comまで、やり方や、ルールなどちゃんとまとめたものを作ろうと思っていますので送ります。4月くらいから始めようと思ってます、終わりでーす。お疲れ様でしたー。
 
カメラマン
さ、最後になんかポーズを、
 
Z氏
ポーズ?
 
  Z氏、少し悩み、
 
Z氏
だっちゅーの。
 
 
  パシャー、パシャー、パシャー、パシャー、パシャー、パシャー、パシャー、パシャー。
 
 
終わり。