新頭町戯曲集

複数人の作家で作られる戯曲によるエセメタバース

劇作家Z氏とインタビュアー君による公開談義2

☆登場人物紹介
劇作家Z氏、自称天才劇作家
インタビュアー、囲碁が趣味


「劇作家Z氏とインタビュアー君による公開談義2」


〜前回までのあらすじ〜
劇作家Z氏は頭町大学の講師になったので、インタビュアー君と公開談義をすることになりました。公開談義していたはずなのに何故かカーリング娘とか仲間由紀恵withダウンローズの話になってしまったのでちょっと休憩を取ることになりました。
公開談義1↓
https://atamamati.hatenablog.com/entry/2021/08/08/195907

インタビュアー、コーヒーを飲みながら、スマホをいじっている。
Z氏、コンビニの袋をぶら下げて入ってくる。
Z氏、椅子に座ると袋からチー鱈を取り出し、食べはじめる。


インタビュアー
え、待って待って、


Z氏
え、なに、


インタビュアー
え、なんでチー鱈食べてんすか、


Z氏
え、好きだから、


インタビュアー
いや、好きだからってチー鱈はないでしょう、


Z氏
うまいよ、チー鱈、君も食べる?


インタビュアー
食べませんよ、


Z氏
あ、チー鱈きらい?


インタビュアー
チー鱈は好きですよ、だけどチー鱈、今食べるべきものじゃないでしょう、


Z氏
そんなの人の自由だろう、今休憩中なんだから。


Z氏、チー鱈の横の薄い皮を一枚一枚丁寧に剥がして食べている。


インタビュアー
みみっちい食べ方しないでくださいよ、


Z氏
みみっちいとはなんだ、これが一番うまい食べ方なんだよ、


インタビュアー
あのねえ、Z氏、チー鱈は今食べるべきものではありませんよ、いくら休憩中だからって、ここ大学ですよ、あなた、想像してくださいよ、めっちゃチー鱈食べてる人から何か教えてもらいたいと思いますか?


Z氏
思うね、チー鱈みんな好きだからいいじゃん、


インタビュアー
あのうねえ、教室にチー鱈の匂いしてたら嫌でしょう、勉強する気なくなっちゃうでしょうが、チー鱈になっちゃいますよ頭の中が、


Z氏
頭の中がチー鱈になったらやばいね、脳みそチー鱈みたいな、


と、Z氏バンホーテンのアイスココアを取り出す、


インタビュアー
え、なになになになに、こわいこわいこわいこわい、


Z氏
なんだよ、うるさいよ、君、


インタビュアー
チー鱈食べながらバンホーテン飲むんすか?


Z氏
チー鱈食べながらバンホーテン飲むよ。


インタビュアー
絶対合いませんって、チー鱈とアイスココア絶対合いませんって、


Z氏
なんだよ、合うとか合わないとかじゃないから、チー鱈はチー鱈、バンホーテンバンホーテンだよ、


インタビュアー
いや、無理でしょ、人間口二つないんですよ、チー鱈食べて、バンホーテン飲んだら、あ、


Z氏、バンホーテンをストローで飲んでる。


Z氏
チュー、


インタビュアー
絶対まずいでしょ、絶対、絶対それは、違うでしょ、


Z氏
うるさいなあ、人の食べ物にケチつけるなよ、好きなもの食べて好きなもの飲んでるんだよ、好きカケル好きで好きの二乗だよ。ねえ?


学生B
あ、いやあ、ぼくは、どっちも好きじゃないので、よくわかりませんが、


Z氏
え、好きじゃないの?バンホーテンもチー鱈も?


学生B
ああ、はい、好きじゃないですね、


Z氏
え、そんな人間いるの、バンホーテン、きらいな人いるの、


学生B
あ、ええ、だって、甘いから、すごく、


Z氏
うわー、ちょっと衝撃だわ、バンホーテンきらいな人はじめて会ったわ、


インタビュアー
いや、結構多いと思いますよ、


Z氏
え、そんなことないでしょう、


インタビュアー
だって僕も苦手ですし、


Z氏
え、君も苦手なの、


インタビュアー
はい、


Z氏
うわあ、それは、ちょっと、あれだな、ちょっと裏切られた気分だわ、


インタビュアー
だってそれは人の好みじゃないですか、


Z氏
いやわかってるわかってる、わかってるんだけど、え、この中でバンホーテンきらいな人いる?いたら手挙げてもらって良い?


パラパラと手を挙げる、


Z氏
あ、結構いるね、


インタビュアー
半分いかないぐらいですかね、


Z氏
あ、じゃあバンホーテン好きな人手を挙げて、


パラパラと手を挙げる、


Z氏
おおー、やっぱ好きな人のほうが多いね、


インタビュアー
まあ、好きな人は好きでしょうね、


Z氏
え、どっちにも手を挙げてない人はなんなの、好きでもきらいでもないの、


学生C
っていうか、バンホーテンってなんですか、


Z氏
え、バンホーテンはこれだよ、


学生C
あ、紙パックですか、


Z氏
紙パックのアイスココアだよ、世界が認めたアイスココアだよ、


学生C
あ、そうなんですね、知らなかったです。


Z氏
え、見たことない?コンビニに置いてるよ、紙パックのジュースとか飲まないの?


学生A
すみません、早く授業やってください、


Z氏
いや、待ってよ、今、結構大事なこと話してるんだから、


インタビュアー
どこが大事なんですか、この方の言う通りですよ、早く授業始めましょうよ、


Z氏
おいおいおいおい、困るな、僕としては、これ学生さんたちとのコミュニケーションとったほうがいいと思ってやってるんだけど、


インタビュアー
そんな笑っていいとも的なコミュニケーションの取り方ありますか、アイスココア好きな人手を挙げて、って、タモリさんと観覧席の客とのコミュニケーションの取り方ですよ、タモリさんになりたいんですかあなたは、


Z氏
え、タモリさんになりたいよ、俺、


インタビュアー
え、タモリさんになりたいんですか、


Z氏
え、タモリさんになりたくない人いる?ちょっとこの中でタモリさんになりたくない人手挙げて、


インタビュアー
挙げなくていい、挙げなくていい、


Z氏
タモリさんと言えばさあ、最近はじめてボキャブラ天国って番組見たんだけどさ、


インタビュアー
めっちゃ気になるけどその話、授業終わってからにしてくださいよ、


学生A
本当にタモリさんとかどうでも良いので早く授業やってくれませんか。


インタビュアー
君、それはタモリさんに失礼だよ、


Z氏
うーん、まあ、そうだなあ、じゃあ、そろそろ公開談義はじめるか、ええーと、なんの話していたんだっけな、


インタビュアー
太田省吾の話でしょう、


学生A
藤子・F・不二雄の話ですよね、


学生B
アイドルの話をしようってなってませんでしたっけな、


学生C
そもそもなんですが、頭町戯曲集の説明の途中で終わっていたような気がするんですが、、


間。


Z氏
うーん、そうね、じゃ、ま、とりあえずクレヨンしんちゃんの映画の話でもするか、


インタビュアー
なんでやねん、クレヨンしんちゃんなんかの講義につながる気がしないですよ、


Z氏
いや、感動しちゃってさ、新作映画、謎めき花の天カス学園、


インタビュアー
しかも新作、


Z氏
あ、ネタバレしていい?ネタバレ気にするって人手挙げて?


パラパラ、手が挙がる。


Z氏
あ、やっぱダメか、


学生D
クレヨンしんちゃんの新作映画見に行くことないだろうから僕はいいですけど、


Z氏
なるほど、じゃあ、ネタバレしてもいいのかな、


みんな
いいよーいいよー、やっちゃえ、やっちゃえ、やっちゃえ、日産、


インタビュアー
クレヨンしんちゃん大丈夫かな、


Z氏
えと、まずね、今回のクレヨンしんちゃんはあれなのよ、劇場版うる星やつら2ビューティフルドリーマーとつながる部分あると思います。


インタビュアー
ええー、名作じゃないですか、超名作じゃないですか、


Z氏
つまり劇場版うる星やつら2というのは、ざっと説明すると、文化祭かなんかの直前の、準備の忙しさがマックスのとある一日がずーっと繰り返されていて、それに違和感を覚えた人から次々と姿を消していくわけだ、で、最終的にラムちゃんあたる達いつものメンバーだけ残されて、人はいないのにコンビニで食料調達できるし、水も電気も通ってる、ユートピアみたいな世界が続くわけ、で、まあ、結局それはラムちゃんが望む夢の世界、ずーっといつまでも終わってほしくない世界ってことが発覚するのね、つまり、そもそも、うる星やつらサザエさんと同じような時間を持っているわけよ、ずーっと年をとらずに日常が繰り返されている世界なわけでしょう、そこにメスを入れたのが劇場版ビューティフルドリーマーということになっているんだと思われます。そしてそして、今回クレヨンしんちゃんの新作映画、謎メキ花の天カス学園もそういったメスの入れ方がされていると思うわけよ、つまりクレヨンしんちゃんはずーっと5歳児なわけだ、だけど映画の中では、小学校の体験入学という今までより少し先の世界に踏み込んでいるわけだ、そしてここで強調されているのが風間くんという将来エリートに生きていくことが確定しているキャラよ、つまり風間くんは小学校からお受験する未来が登場当初から決まっているわけだ、クレヨンしんちゃんと風間くんはずーっと一緒にはいないわけだ、未来で別々の学校に進むことがほぼ確定していると言っていいと思う、だけどクレヨンしんちゃんの世界ではしんちゃんと風間くんはいつも一緒にいるわけだ、ああ、ちょっと泣けてきちゃったよ、その日常もいつかは終わると示唆したのが今回の映画ということになります、いやあ、これは、本当に、泣かされちゃいましたよ、、


インタビュアー
う、うーん、いや、うん、めっちゃ良さそうですね、めっちゃ良さそうだし、感動しそうだし、なんですが、なんだろうな、うん、あのう、それ、なんか、ただただ感動したって話なんですかね、


Z氏
え、何、ただただただただ感動したって話だよ、え、ダメ?


インタビュアー
いや、ダメじゃないんですが、ダメじゃないんですが、いや、今、頭町大学の講義の時間ですので、もっと講義っぽいことをと言いますか、もっと頭町戯曲集と繋がる話をした方が良いのではなかろうか、と、


Z氏
全然、全然、繋がるよ、めっちゃ繋がるよう、この話、頭町戯曲集にしか繋がらない話よ、


インタビュアー
それは、それでどうなんだろう、


Z氏
つまり、頭町戯曲集ってのは日常系なわけだ。


インタビュアー
え?


Z氏
頭町戯曲集ってには日常系なのよ、クレヨンしんちゃんうる星やつらと同じよ、


インタビュアー
え、そうだったんですか?


Z氏
そうじゃん、


インタビュアー
ん、うわ、そうだ、確かにそうだ、いや、すごい、これは、発見ですよ、


Z氏
いや、僕は初めから日常系のつもりだったんだよ、だったんだけど、どうも、それがうまくいきそうもないなってことを最近感じているわけなのよ、


インタビュアー
と、言いますと、


Z氏
つまりね、日常系ってのはキャラがたくさん出てくるでしょう、そして、ある程度エピソード出し尽くしちゃうと、まだ出会わせたことないキャラ同士を出会わせてストーリーつくったりできるわけよ、うる星やつらで言うと今回は弁天さんと龍之介の絡みを描いてみるか、とか、面倒の母とラムちゃんの母を対決させてみるか、とか、そういった楽しみができるはずなんですよ、だけど頭町戯曲集ではそれができない、いや、やろうとしたのよ、実際ダンサーイン電車って戯曲に出てためっちゃ叫んでた佐田原てやつがいるんだけど、カッツさんのターク戯曲集を読む会てシリーズになんとなく出してみたらもう全然違う人になってるわけよ、なっちゃってるわけ、って言うか同じ人として描けないのよね、その理由、そう、ちょっとわかってきた、頭町戯曲集はうる星やつらとは違うんですよ、うる星やつらうる星やつらの空気感があるわけよ、その空気感の中で様々なキャラクターがいるわけでしょう、クレヨンしんちゃんクレヨンしんちゃんの空気感、サザエさんにはサザエさんの空気感があるわけよ、その中で様々なキャラクターがいるわけよ、そうここ、ここ、ここテストでるよ、テストとかあるんか知らんけど、つまり、つまりね、頭町戯曲集で更新されていく戯曲は空気感が戯曲ごとに違うんですよね、空気感というか、リズム感というか、戯曲には戯曲ごとのリズムがあるわけね、多分、全部同じ空気感で描いていたら違うのかもしれない、全部同じようなナチュラルめな戯曲で描いてたらそれぞれの人物を出会わせたりできるのかもしれない、でも、そうじゃないから、様々な戯曲を書きたいわけだから、っていう意味で日常系とは言えないのかもしれない、いや、もしかしたら、変換アダプターみたいなの、開発できればいいのかもしれない、こっちの戯曲の空気感とあっちの戯曲の空気感を繋げる何かが必要です、って言うのが今の意見なんだけど、そんな開発までして戯曲の空気感を混ぜる労力エグいなって思いはじめていて、そう、だからそれぞれの空気感はそれぞれの空気感で、別々のものとして、しばらくはやっていこうかと思ってるわけですが、ね、


インタビュアー
なるほど、これが頭町戯曲集をはじめてみて気づいたことというわけですか。


Z氏
もう一点あります。


インタビュアー
もう一点ありますか。


Z氏
いいでしょうか?


インタビュアー
うーん、ちょっと時間きそうですので、、手短に、お願いしても良いでしょうか?


Z氏
じゃ、手短に、君、囲碁趣味なの?


インタビュアー
ええ、わたし、囲碁趣味ですよ。


Z氏
本当に?


インタビュアー
本当です。


Z氏
囲碁のルールわかるの?


インタビュアー
わかりますよ、当たり前じゃないですか?


Z氏
囲碁ってどうなったら勝ちなの?


インタビュアー
それは、今、そんな話いいじゃないですか、


Z氏
わかんないでしょう、


インタビュアー
わかんないわけないでしょう、


Z氏
いや、君は囲碁のルールなんてわかるわけないんだ、何故なら作者が囲碁のルールわかってないんだから。


インタビュアー
なんすかそれ、なんでそんな設定私につけられてるんですか?


Z氏
これね、ごめんなんとなくはじめたんだけど、登場人物紹介に囲碁が趣味って書いちゃうと、なんか囲碁が趣味ならではのニュアンス滲まないかなあって思ってやってみたの、


インタビュアー
滲んでました?


Z氏
いや、よくわかんない、


インタビュアー
よくわかんないってことは、ダメってことでしょうか?


Z氏
うーん、穴岩耳子て人物の紹介に魚座って書いてみたら魚座のこと全然知らないけどなんか魚座っぽい気がするぞってなんとなく思ったりはした、だから、もしかしたらいい紹介文、いい作用を及ぼす人物の情報ってのはありえる気がして、最近、ニコライゴーゴリの死せる魂第一部読み切ったんだけど、そん中で、靴下をサモワールで乾かす梅干し婆さんってのが一瞬だけ出てくるのよ、


インタビュアー
靴下をサモワールで乾かす梅干し婆さん、めっちゃいいですね、


Z氏
めっちゃいいでしょ、僕もめっちゃいいなあって思った、


インタビュアー
なんか想像できますよね、その簡単な情報だけで、その人物が、


Z氏
そう、まさにそう、だけどその婆さん主人公の子供時代に住んでた家の叔母さんなんだけど、一瞬しか出てこなくって、マジでその一瞬しか出てこないけど、強烈な印象を残していってるわけよ、


インタビュアー
ほほう、そりゃあ、すごいですね、


Z氏
それに比べて君はなんだい、なんだよ、囲碁が趣味って、全然なんにも浮かばないよ、


インタビュアー
あなただって自称天才劇作家ってなんなんですか、


Z氏
自称天才劇作家はなんかいいじゃない、ちょっと想像できるじゃない、実際ちょっと自称天才劇作家っぽい性格してない、僕?


インタビュアー
うーん、まあ、言われてみれば、って待って待って、囲碁が趣味って僕が考えたわけでなくてあなたが考えた設定でしょう、


Z氏
いや、そうなんだけど、そうなんだけどさ、もっと、なんだろうな、受動的になるんじゃなくてさ、能動的になりなよ、こういう紹介文つけてくれーって主張してきてくれたっていいじゃない、ねえ?


学生C
いやあ、ちょっと、あの、世界観がよくわかんなくなってきました、


Z氏
え、何?


学生C
あなた、一体誰ですか?


Z氏
え、自称天才劇作家、Zだけど、


学生C
頭町戯曲集を書いてるのはあなたですよね?


Z氏
え、うんそうだよ、


学生C
この講義って頭町戯曲集の一部なんですよね、


Z氏
ええ、うん、そうね、


学生C
頭町戯曲集を書いている劇作家Z氏が頭町戯曲集の戯曲の中で講義しているんですかね?


Z氏
うん、そうよ、なにもおかしくないじゃない。


インタビュアー
え、僕は、囲碁、趣味じゃないってことですか?


Z氏
いや、君は、囲碁が趣味なんだけど、囲碁のルール知らないだけ。


インタビュアー
え、ルール知らないのに趣味ってことですか?


Z氏
待とう、そこ掘り下げちゃったら、あれだ、崩壊します、何かが、崩壊します、


インタビュアー
掘り下げちゃいけないってことでしょうか。


Z氏
世の中にはね、掘り下げちゃいけないことってのが、あるわけよね、みんな、一つ大人になったね。


キーンコーンカーンコーン。


Z氏
時間、ですかね、


インタビュアー
時間、ですね、


Z氏
じゃ、今日の公開講義はここで終わりです。ありがとうございましたー。


終わり。